チェーンにアルカリ性は良いの2

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アルカリ性の洗浄剤がチェーンの素材自体にダメージを与えないのは前のブログでご紹介しました。
しかし、世間ではアルカリ性のチェーンディグリーザーはチェーンに悪いから使ってはいけないなどと言う。一体なぜなのでしょう。

酸性の洗浄剤などが、鉄を溶かしてしまうのは皆さんご存知の通り、そして水素脆化というダメージを与えてしまう。
では、アルカリ性は全ての素材にダメージを与えないのでしょうか?

実は、金属の中には酸性にもアルカリ性にも反応してします両性元素(両性金属)と呼ばれる金属があります。
代表的なものには亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、ベリリウムなどです。よく洗浄剤にアルミ製品には使用しないでください。
などと書かれているのはそのためです。(アルミの話は長くなるので別途にします)

しかし、まともなチェーンであれば鋼材を使っているので、反応しないと思うのですが、もしかすると安物チェーンの場合スクラップの鉄材を使っている可能性もあります。この場合様々な金属が混入しており、その成分はコントロールできません。この混入した両生金属が腐食して強度低下を起こしている可能性もありますが、まともなチェーンではまずあり得ないと思います。

じゃあ、なんでアルカリはダメなのさ

それは、洗浄力が強いから  えっ、洗浄力が強いのは良いじゃない。   その通りなんですが、洗浄の後が問題なのです。
チェーンのリンクの間には生産時に大量のグリスが封入されています。これは、潤滑の目的もありますが、店舗在庫時に錆びないように防錆の意味もあります。
多くのサイクリストはこのグリスの抵抗を嫌い、洗浄脱脂を行い高級潤滑油を給油すると思うのですが、この潤滑油の給油が的確に行われていない場合、走行時に摩擦熱が発生し、チェーンのリンクが割れてしまうのです。また、潤滑油の給油だけではなく、洗浄時に濯ぎが足りない場合、折角給油しても残った洗浄剤が油分を分解してしまいます。しかし、これはアルカリ性の洗浄剤だけの話ではなく、どんな洗浄剤を使っても適切に濯ぎを行い、洗浄成分を落とすことが大切です。

これは、灯油や有機溶剤系でも同じです。灯油や有機溶剤は全て蒸発することはないので別途洗浄剤で油分を落とさなければなりません。さらに廃油の処理も問題になります。
上記のようなことを考えると、水溶性のアルカリ洗浄剤がディグリーザーとしてはベストではないかなとGOTALは考えています。

じゃアルカリは、全く鋼材には影響を与えないの?

全てのアルカリ剤が鋼材に安全というわけでもありません。一つはアンモニア、これは最近、ペットの排泄物が標識や電柱などを腐食させていると話題になっている話と同じです。1950年代にアメリカで農業用肥料のタンクの破壊から研究され、アンモニアの水素脆化が疑われ始めました。実はチェーンの取扱説明書に使うなと書かれている、アルカリ性の錆び取りクリーナーの主成分はチオグリコール酸アンモニウム。この成分の多くはアンモニアから合成され、合成の過程でアンモニアが残留していることが多いのです。また、成分を安定させる為に若干のアンモニアが添加されているものもあります。ブレーキローターにチオグリコール酸アンモニウム系のクリーナーを使っている方がいますが十分に注意してください。

そしてもう一つが水酸化ナトリウム。これは大変強いアルカリ性で苛性ソーダという名前でも知られています。水酸化ナトリウム自体は鋼材には反応しないのですが、10%溶液でもPH14という強さで、油分を強力に分解します。そして非常にコストも安いため様々な油汚れ用クリーナーやパイプクリーナーなどに利用されています。
しかし、水酸化ナトリウムは、ある環境下ではアルカリ脆化という現象を起こします。これは1990年台にボイラーなどの配管の破損の研究から発見され、徐々に仕組みが解明されてきました。一般的にボイラー水は腐敗防止などからPH値11前後にされており、このPHを作るために原価の安い水酸化ナトリウムを利用しているケースがありました。PH値11にコントロールされたボイラー水はカーブした配管に留まり、ボイラー停止後に乾燥しPH14以上に戻り、100℃を超える高温の配管は高いPHで侵食、また運転開始、ボイラー停止後に乾燥を繰り返し残留応力破壊を起こすと考えられています。実はチェーンでもこれに近いことが起こる場合があります。水酸化ナトリウムを使ったクリーナーを使用。洗浄剤が残留。チェーンオイルを分解、摩擦熱が発生、水酸化ナトリウムが高まる。
ボイラー内で起こる現象近いと言えます。水酸化ナトリウムを使った洗浄剤でも適切な処理を行っていれば良いのですが、リスクを考えると使わない方が良いと言えます。 当社の「チェーンディグリーザーの素」では原価の安い水酸化ナトリウムを使用していませんので安心してお使いください。
それでも洗浄力の高いディグリーザーですので、洗浄後はしっかりと濯いでください。

パイプクリーナーや業務用洗浄剤の中には、水酸化カリウムを使用した製品もあります。

この水酸化カリウムは水酸化ナトリウムより強いアルカリ性です。大変危険ですので、チェーン洗浄などには使用することは控えましょう。

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